商標法上通常使用権者の承諾が必要となる手続
[4]商標法上の手続
商標法では、商標権の放棄における通常使用権者の承諾(法律上の承諾)は、引き続き必要とすることが適当であるとされました。特許法が改正されることから、商標法による準用条文についての所要の手当てがなされます(改正商標法第34条の2(新設))。
商標法において商標権の放棄における通常実施権者の承諾を必要とする理由
- 商標法は、商標を保護することにより、通常使用権者も含めてその商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図るとともに、需要者の利益を保護することを目的としています。
- 通常使用権者の承諾なく商標権が放棄され、誰もがその商標を使用できる状態になった場合には、これまで商標を使用してきた通常使用権者の信用が毀損されるおそれがあるのみならず、商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあり、これにより、需要者の利益も害されるおそれがあります。
- 特許権が放棄された場合には、当該特許に係る技術はいわゆるパブリックドメインとなることから、通常実施権者による実施の継続は可能です。一方、商標権が放棄された場合には、その後、同一・類似の商標について他者が権利を取得することが可能ですから、通常使用権者が差止め等の請求を受ける可能性があります。
参考文献:
- 特許庁「産業構造審議会 知的財産分科会 第6回商標制度小委員会 資料5 特許法改正論点の商標法への波及について」 令和2年(2020年)11月5日
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